第一條

左記ノ物件ヲ郵便禁制品トス

1. 公安ヲ妨害シ又ハ風俗ヲ壞亂スヘキ文書、圖、畫、其ノ他ノ物件
2. 爆發性、發火性又ハ危險性ノ物件其ノ他郵便吏員ニ危害ヲ加ヘ又ハ郵便物ニ損害ヲ與フヘキ物件

第二條

通貨、金銀、寶石、珠玉其ノ他高價ノ物件ハ價格表記ト爲スニ在ラサレハ郵便物トシテ之ヲ差出スコトヲ得ス

第三條

通常郵便物ノ容積ハ其ノ長一尺三寸幅八寸五分厚五寸ヲ限ルトシ其ノ重量ハ第三種乃至第五種郵便物ニ在リテハ三百匁商品見本及雛形ニ在リテハ百匁を超過スヘカラス

小包郵便物ノ容積ハ其ノ長幅及厚各二尺ヲ限トシ其ノ幅及厚各五寸以內ノモノハ長三尺ヲ限トシ重量ハ一貫五百匁ヲ超過スヘカラス

第四條

郵便物ノ容積及重量ノ制限ヲ超過シ其ノ他成規ニ違反シテ差シ出シタル郵便物ハ特ニ規定シタル場合ノ外之ヲ差出人ニ還付ス若其ノ郵便料未納又ハ不足ナルトキハ其ノ不納額ノ二倍ヲ徵收ス

第五條

無料郵便物ハ郵便法第二十八條ニ揭クル區別ニ從ヒ其ノ關係事務ノ名稱ヲ表面ニ記載スへシ

無料郵便物ノ差出人又ハ受取人カ官署若ハ官吏ナルトキハ官署名若ハ官職氏名私人ナルトキハ其ノ宿所氏名ヲ外部ニ明記スへシ

前項ノ規定ニ反スル郵便物ハ有料郵便物トシテ取扱フ

第六條

無料ノ性質ヲ有セサルモノヲ無料郵便物トシテ差出タルトキハ差出人ニ還付シ未納額ノ二倍ヲ徵收ス

無料郵便物ニ無料ノ性質ヲ有セサル音信文ヲ記載シ又ハ有料郵便物ヲ添附シタルモノ亦同シ

第七條

郵便ニ關スル料金ノ未納又ハ不足カ郵便局所ノ過失ニ依リタルトキハ其ノ不納額ハ之ヲ徵收セス

第八條

郵便ニ關スル料金ニシテ左ニ記載シタルモノハ其ノ納付人ノ請求ニ依リ郵便切手ヲ以テ之ヲ還付ス

1. 郵便局所ノ過失ニ因リ徵收シタル郵便料過徵額及誤納額
2. 特殊取扱ノ請求アリタル郵便物ニシテ郵便局所ノ過失ニ依リ其ノ取扱ヲ爲ササリシ場合ニ於ケル特殊取扱ノ料金
3. 郵便局所ノ過失ニ依リ普通郵便ニ依リテ到達シ得ルヘキ時刻ヨリ遲レテ受取人ニ到達シタル別配達取扱ノ料金
4. 亡失又ハ失效ニ依リ損害賠償ヲ爲シタル場合ノ書留郵便物、小包郵便物、價格表記郵便物、現金取立郵便物ノ郵便ニ關スル料金

第九條

前條ノ料金還付ノ請求ハ其ノ料金ヲ納付シタル郵便局所ニ之ヲ爲スヘシ其ノ期間ハ料金納付ノ日ヨリ六十日トス

第十條

第三種乃至第五種郵便物及小包郵便物ハ其ノ外部ニ左記ノ事項ニ限リ之ヲ記入シ又ハ別ニ記載シテ添附スルコトヲ得

1. 差出人及受取人ノ宿所氏名
2. 差出人及受取人ノ身分、職業、商標等
3. 日附及要用、至急、貴酬等ノ慣用語
4. 贈呈、納本等ノ慣用語
5. 定期刊行物ニ前金切レ又ハ何月何日限リ前金滿了等ノ慣用語
6. 送達上必要ナル注意ヲ示ス語辭

前項郵便物ニハ其ノ內部ニ前項各號ノ外尙左ノ事項ニ限リ之ヲ記入シ又ハ別ニ記載シテ添附スルコトヲ得

1. 名稱、番號、數量、金額、寸尺、重量
2. 定期刊行物、書籍、印刷物、書、畫、圖、業務用書類ニ正誤、注意、點、線、批評ノ類
3. 圖畫及寫眞ニ說明又ハ着色
4. 商品見本及雛形、農產物種子及博物學上ノ標本ニ生產地及種類ヲ確知スル爲メ必要ノ事項
5. 農產物種子ニ播種ノ時季及說明

前二項以外ノ事項ヲ記入シ又ハ別ニ記載シテ添附シタル郵便物ハ第三種乃至第五種郵便物ノ場合ニ在リテハ第一種郵便物トシテ取扱ヒ小包郵便物ノ場合ニ在リテハ差出人ニ還付ス

第十一條

郵便ニ關スル料金納付ノ爲メニ用ヰタル郵便切手其ノ他郵便料金ヲ表彰スへキ證票ハ郵便局所ニ於テ之ヲ消印ス

第十二條

郵便物ハ其ノ品質、形狀ニ應シ危險、損害若ハ惡臭ヲ防止スル爲ニ足ルヘキ適當ノ包裝ヲ爲スコトヲ要ス

第十三條

特種ノ包裝ニ關スル規定ハ別ニ之ヲ定ム

第十四條

書狀トハ全部或ハ幾部ヲ筆記シタルト印刷シタルトニ關セス特定ノ人ニ對スル通信文ニシテ郵便葉書ニ依ラサルモノヲ云フ

第十五條

郵便葉書ハ其ノ表面ニ左記ノ事項ニ限リ之ヲ記載スルコトヲ得

1. 差出人及受取人ノ宿所氏名、身分、職業、商標等
2. 日附及要用、至急、貴酬等ノ慣用語

郵便葉書ハ原形ヲ儘使用シ契約書、委任狀若ハ受領證ト爲スカ爲メ收入印紙ヲ裏面ニ貼附スル場合ヲ除クノ外何等ノ物品ト雖添附スルヲ得ス

前二項ノ規定ニ違反シタル郵便葉書ハ第一種郵便物ト同一ノ取扱ヲ爲ス

第十六條

往復葉書ニ依ル返信ノ際發信ニ使用シタル部分ヲ除去セサルトキハ郵便局所ニ於テ之ヲ除去ス

第十七條

郵便葉書ノ料額印面ヲ汚斑シタルモノハ之ト同額ノ郵便切手ヲ貼付スルニ依リ郵便葉書ノ效力ヲ有ス

第十八條

政府ノ發行スル通常葉書ト同一ノ寸法及紙質ニシテ之ト同一ノ位置ニ「郵便葉書」ノ文字ヲ印刷シ且ツ之ト同額ノ郵便切手ヲ貼付シタル私製葉書ハ通常葉書ト看做ス

私製葉書ニシテ前項規定ニ違反シタルモノハ第一種郵便物ト同一ノ取扱ヲ爲ス

第十九條

第三種郵便物ト爲スヘキ定期刊行物ノ認可ニ關スル規定ハ別ニ之ヲ定ム

第二十條

定期刊行物ハ其ノ刊行物初頁上部ニ其ノ名稱、發行期日、回數、逐號番號、發行年月日及何年何月何日第三種郵便物認可ノ文字ヲ印刷スヘシ但シ册子トシタル刊行物ハ最初及最終ノ頁面ノミニ印刷スルコトヲ得

第二十一條

定期刊行物ハ本紙ノ重量ニ超過セス本紙ト同性質ノ記事、廣吿又ハ書、畫、圖ヲ印刷シ之ニ本紙ノ名稱、番號竝ニ發行ノ年月日及附錄ノ文字ヲ記入シ且册子ト爲ササルモノニ限リ附錄トシテ之ヲ其ノ本紙ニ添附スルコトヲ得

第二十二條

緊急時事ヲ報道スル爲メ臨時ニ刊行スル定期刊行物ノ號外ハ定期刊行物ト同一ノ取扱ヲ爲ス

定期刊行物ノ號外ハ之ニ本紙ノ名稱、發行ノ年月日、何年何月何日第三種郵便物認可及號外ノ文字ヲ記入スヘシ

第二十三條

定期刊行物ニハ其ノ發行者ニ於テ其ノ記事ニ關スル物品ニシテ本紙ノ重量ヲ超過セサルモノニ限リ之ヲ綴込又ハ貼附スルコトヲ得

第二十四條

印刷物ニハ其ノ發行者ニ於テ其ノ記事ニ關スル物品ニシテ其ノ印刷物ノ重量ヲ超過セサルモノニ限リ之ヲ綴込又ハ貼附スルコトヲ得

第二十五條

業務用書類トハ全部若ハ一部ヲ筆書シタル各種ノ文書ニシテ特定ノ人ニ對スル通信文ノ性質ヲ有セサルモノヲ云フ

第二十六條

寫眞、書、畫、圖及博物學上ノ標本ハ掛軸、扁額トナス等裝飾又ハ作爲ヲ加ヘサルモノヲ云フ

第二十七條

商品見本及雛形ハ見本又ハ雛形トシテ其ノ性質又ハ形狀ヲ示スニ足ルヘキ箇數又ハ分量ニ限リ其ノ營業者ト往復スルモノヲ云フ

前項ノ郵便物ニハ其ノ外部ニ差出人又ハ受取人ノ營業名及其ノ表面ニ商品見本又ハ雛形ノ文字ヲ記載スヘシ

第二十八條

小包郵便料金ハ左ノ如シ

第二十九條

小包郵便物ハ引受ノ際差出人ニ該郵便物ノ受領證ヲ交付シ該郵便物ノ配達又ハ還付ノ際受取人又ハ差出人ヨリ該郵便物ノ受領證ヲ差出サシム

第三十條

小包郵便物ヲ還付シ又ハ同一郵便區外ヘ轉送スルトキハ其ノ還付又ハ轉送ノ里程ニ從ヒ更ニ郵便料ヲ徵收ス

第三十一條

小包郵便物ノ郵便料ハ前納ニ限ル但シ該郵便物ヲ還付シ又ハ同一郵便區外ヘ轉送スル場合ハ後納トス此ノ場合ニ於テ還付料及差出人ノ請求ニ依ル轉送料ハ差出人ヨリ徵收シ受取人ノ請求ニ依ル轉送料ハ受取人ヨリ徵收ス

第三十二條

小包郵便物ノ差出人ハ其ノ郵便物差出ノ際宛地ノ郵便局所ニ於テ配達ヲ遂クル能ハサル場合ニ於ケル該郵便物ノ轉送又ハ棄卻ノ處分ニ付豫メ請求ヲ爲スコトヲ得

第三十三條

小包郵便物ノ受取人ハ該郵便物ノ轉送ヲ名宛地ノ郵便局所ニ請求スルコトヲ得

第三十四條

特殊ノ取扱ヲ要スル郵便ニ關スル料金ハ特別ノ規定アル場合ノ外凡テ前納トス

第三十五條

郵便物ノ特殊ノ取扱ニ要スル料金ハ左ノ如シ

1. 別配達料　一箇ニ付

   市內ハ金十錢

   市外ハ金三十錢

   他ノ郵便區內ニ配達スルトキハ差出人指定ノ配達局ト名宛地所管ノ郵便局トノ里程ニ應ジ別ニ一里迄每ニ金十五錢ヲ加徵ス

   浮船料ハ市內市外ニ拘ラス別ニ其ノ實費額ヲ受取人ヨリ徵收ス受取人之ヲ納付セサルトキハ差出人ヨリ追徵ス

2. 留置通知料　一箇ニ付　金三錢
3. 配達證明料　一箇ニ付　金三錢
4. 書留料　一箇ニ付　金七錢
5. 價格表記料　表記金額十圓迄ハ金七錢十圓以上百圓迄ハ其ノ超過シタル額ニ對シ十圓迄每ニ金五錢百圓以上千圓迄ハ其ノ超過シタル額ニ對シ十圓迄每ニ金四錢
6. 代金引換料　一口ニ付　金五錢外ニ取立金送達料トシテ其ノ引換金額十圓迄ハ金五錢十圓以上百圓迄ハ其ノ超過シタル額ニ對シ十圓迄每ニ金四錢百圓以上三百圓迄ハ其ノ超過シタル額ニ對シ十圓迄每ニ金三錢
7. 現金取立料　一口ニ付　金五錢外ニ取立金送達料トシテ代金引換ト同一ノ割合ニ依ル料額

第三十六條

左記ノ郵便物ハ其ノ下ニ記載セル文字ヲ表面看易キ場所ニ記入スヘシ

1. 別配達郵便物　別配達又ハ何局別配達
2. 留置郵便物　留置若ハ何局留置又ハ留置通知
3. 配達證明郵便物　配達證明
4. 書留郵便物　書留
5. 價格表記郵便物　價格表記金何程
6. 代金引換委託郵便物　代金引換金何程

第三十七條

書留又ハ價格表記ノ通常郵便物及小包郵便物ハ別配達ト爲スコトヲ得

第三十八條

別配達ノ郵便物ハ通常ノ配達時刻ニ拘ラス直ニ特使ヲ以テ之ヲ配達ス

別配達ノ郵便物ニシテ配達ノ際受取人不在其ノ他ノ事故ニ依リ交付スルコト能ハサルトキハ別配達ノ效力ヲ失フ

第三十九條

留置郵便物ハ差出人指定ノ郵便局所ニ留置受取人ノ出頭ヲ待テ之ヲ交付ス

第四十條

留置郵便物ノ差出人ハ留置郵便局所ヨリ其ノ受取人ニ該郵便物到著ノ通知ヲ請求スルコトヲ得

第四十一條

郵便物ノ留置期間ハ三十日トス

交通不便ニシテ其ノ受取人前項ノ期間ニ出頭シ能ハスト認ムル地ニ宛テタ郵便物ニ限リ特ニ其ノ期間ヲ延長スルコトアルヘシ

第四十二條

書留又ハ價格表記ノ通常郵便物及小包郵便物ハ配達證明ト爲スコトヲ得

第四十三條

配達郵便局所ニ於テ配達證明郵便物ノ配達ヲ了シタルトキハ其ノ配達ノ證明書ヲ差出人ニ送付ス

第四十四條

通常郵便物ハ之ヲ書留ト爲スコトヲ得但シ價格表記ト爲シタルモノハ書留ト爲スコトヲ得ス

第四十五條

書留郵便物ノ授受ニ關シテハ第二十九條ノ規定ヲ準用ス

第四十六條

有償ノ物件ヲ封入シタル郵便物ハ之ヲ價格表記ト爲スコトヲ得但シ書留ト爲シタルモノハ價格表記ト爲スコトヲ得ス

價格表記金額ノ制限ハ金千圓トス

第四十七條

價格表記郵便物ノ授受ニ關シテハ第二十九條ノ規定ヲ準用ス

第四十八條

價格表記ノ通常郵便物及小包郵便物ハ代金引換ト爲シ其ノ郵便物ト代金トノ引換ヲ郵便局所ニ委託スルコトヲ得

第四十九條

代金引換郵便物ハ到著郵便局所ニ留置キ其ノ旨ヲ受取人ニ通知シ受取人ノ出頭ヲ待テ代金ト引換ニ之ヲ交付ス

前項留置ニ關シテハ第四十一條第八十二條ノ規定ヲ準用ス

第五十條

取立郵便局所ニ於テ代金引換郵便物ノ代金ヲ其ノ受取人ヨリ取立タルトキハ引受郵便局所ハ差出人ニ其ノ旨ヲ通知ス

差出人前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ所定ノ期間ニ其ノ通知書及該郵便物ノ受領證竝ニ取立金送達料ヲ差出シ之ヲ引換ニ取立金ノ交付ヲ受クヘシ

第五十一條

代金引換郵便物ノ受領證ヲ亡失シタルトキハ差出人ハ其ノ事由ヲ記載シタル證明書ヲ以テ之ニ代用スルコトヲ得但シ郵便局所ハ相當ノ擔保ヲ供セシムルコトアルヘシ

第五十二條

代金引換郵便物ノ差出人ハ第七十九條郵便物取戾請求ニ關スル料金ト同額ノ料金ヲ前納シテ代金引換ノ取消ヲ請求スルコトヲ得

第五十三條

代金受領證、株式配當券、公債又ハ社債ノ利券、保險掛金受領證ニシテ持參人ニ支拂ハルヘキモノハ現金取立トシテ其ノ金額ノ取立テヲ郵便局所ニ委託スルコトヲ得

現金取立郵便ニ依ル金額ノ制限ハ一口ニ付金三百圓トス

第五十四條

現金取立ハ一口ニ付二通以上ノ證券ヲ委託スルコトヲ得ス但シ同一ノ債權者ニ屬シ同一ノ債務者ヨリ同時ニ取立テ得ヘキモノハ此ノ限リニ在ラス

第五十五條

現金取立ノ委託ヲ爲サムト欲スル者ハ現金取立委託書ト共ニ金額ヲ取立ツヘキ證券ヲ郵便局所ニ差出シ郵便局所ヨリ其ノ受領證ヲ受取ルヘシ

第五十六條

一定ノ期日ニ取立ヘキ證券ハ債務者ノ所在ニ達スヘキ日數ヲ除キ該期日ヨリ早クモ十五日遲クモ五日以內ニ之ヲ委託スヘシ

第五十七條

現金取立郵便ニ依ル證券ヲ債務者ニ呈示ノ際其ノ金額ヲ取立ツルコトヲ得サル場合ニ於テ直ニ其ノ證券ノ還付ヲ望ム者ハ委託書ニ其ノ旨ヲ記入シテ差出スヘシ

第五十八條

現金取立郵便物ノ到著局所ハ債務者ニ委託證券呈示ノ期日ヲ豫吿シ該期日ニ債務者ノ居所ニ就テ證券引換ニ其ノ金額ノ支拂ヲ求ム若債務者其ノ居所ヲ移轉シ移轉先同一取立區內ナルトキハ其ノ移轉先ニ就テ同樣ノ手續ヲ爲スへシ

第五十九條

委託ノ證券呈示ノ際債務者ノ支拂ノ拒絕ニ依ルニ在ラスシテ其ノ金額ヲ取立ツルコト能ハサルトキハ郵便局所ハ七日以內ノ期間ニ指定ノ郵便局所ニ出頭シテ該金額ノ支拂ヲ爲スへキ旨ヲ記載シタル吿知書ヲ其ノ居所ニ殘置ス但シ第五十七條ニ依ル請求アル場合ハ此ノ限リニ在ラス

第六十條

委託ノ證券呈示ノ際債務者ノ所在不明ナルトキ若ハ其ノ取立區域外ニ移轉シタルトキ又ハ債務者カ其ノ金額ノ支拂ヲ拒絕シタルトキ又ハ其ノ金額ヲ所定ノ期間內ニ支拂ハサルトキハ郵便局所ハ委託證券受領證ト引換ニ委託ノ證券ヲ差出人ニ還付ス

第六十一條

取立郵便局所ニ於テ委託證券ノ金額ヲ其ノ債務者ヨリ取立タルトキハ引受郵便局所ハ差出人ニ其ノ旨ヲ通知ス

差出人前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ所定ノ期間ニ其ノ通知書及委託證券ノ受領證及取立金送達料ヲ差出シ之ト引換ニ取立金ノ交付ヲ受クヘシ

第六十二條

委託證券ノ受領證亡失ノ場合ニ於ケル證明書ノ差出方ニ關シテハ第五十一條ノ規定ヲ準用ス

第六十三條

現金取立ノ取消ニ關シテハ第五十二條ノ規定ヲ準用ス

第六十四條

普通郵便ニ依ル定期刊行物及印刷物ニ限リ郵便官署ト特約シテ約束郵便ト爲スコトヲ得

約束郵便トシテ差出ス郵便物ハ他ノ特殊取扱ト爲スコトヲ得ス

約束郵便トシテ差出ス郵便物ニハ別ニ定ムル所ニ依リ約束郵便ノ印章ヲ押捺スヘシ

第六十五條

約束郵便トシテ差出ス郵便物ニハ郵便切手ヲ貼用セス一定ノ期間満了ノ後通貨ヲ以テ其ノ期間内ニ差出タル郵便物ノ料金ヲ納付スヘシ

第六十六條

郵便私書函使用人ハ郵便局所ニ設置シタル郵便私書函ニ依リ何時ニテモ普通郵便ニ依ル料金完納通常郵便物ヲ受取ルコトヲ得

第六十七條

郵便私書函ハ二人以上ノ名義ヲ以テ一箇ヲ使用スルコトヲ得ス

第六十八條

郵便私書函ヲ使用セムト欲スル者ハ當該郵便局所ノ許可ヲ受ケ其ノ定ムル所ニ依リ一年分金五十圓以下ノ郵便私書函料ヲ納ムヘシ

第六十九條

普通郵便ニ依ル通常郵便物ハ郵便函ニ差入レルヘシ但シ容積大ナルカ爲メ又ハ箇数多キカ爲メ郵便函ニ差シ入レルルコト能ハサルモノハ郵便局所ニ差シ出スヘシ

小包郵便物及特殊ノ取扱ヲ要スル通常郵便物ハ郵便局所ニ差出スヘシ但シ通知ヲ要セサル留置通常郵便物ハ此ノ限リニ在ラス

第七十條

郵便局所内ニ於テ郵便物ノ引受ヲ爲スハ郵便取扱時間中ニ限ル但シ別配達郵便物ハ此ノ限リニ在ラス

第七十一條

郵便物ノ重量ハ其ノ郵便物ニ貼用シタル郵便切手ノ重量ヲモ合算ス

第七十二條

小包郵便料及別配達郵便料ニ關スル里程ハ郵便官署ノ定ムル所ニ依ル

第七十三條

深山孤島其ノ他ノ僻陬ノ地ニシテ交通困難ノ場所ニ居住スル者ニ宛タル郵便物ニシテ通常ノ方法ニ依リ配達シ難キモノハ凡テ郵便局所ニ留置受取人ノ出頭ヲ待テ之ヲ交付ス差出人ニ郵便物ヲ還付スル場合モ亦同シ

第七十四條

二名以上ニ宛タル郵便物ハ其ノ内ノ一名ニ配達ス

第七十五條

郵便局所ニ於テ誤テ郵便物ヲ正當受取人ニ在ラサル者ニ配達シタルトキ其ノ配達ヲ受ケタル者ハ速ニ其ノ事由及居所氏名ヲ記載シタル付箋ヲ爲シ料金ヲ納付スルコトナク再ヒ郵便ニ差出スカ又ハ郵便局所ニ届出ルヘシ

前項ノ場合ニ於テ其ノ郵便物ヲ誤テ開披シタルトキハ之ヲ封緘シ又ハ相當ノ手當ヲ爲シ前項ノ手續ヲ爲スヘシ

第七十六條

郵便局所カ郵便物ノ配達又ハ還付ヲ受ケタル者ニ就キ其ノ郵便物ノ封皮及葉書ノ交付ヲ求メ又ハ其ノ郵便物ノ授受ニ關スル状況ヲ探問スルトキハ之ヲ拒ムヘカラス

第七十七條

正當ノ事由ナクシテ第七十五條ノ手続キヲ爲サス又ハ第七十六條ノ要求ニ応セサル者ハ科料ニ處ス

第七十八條

通常郵便物ノ轉送及還付ハ別ニ料金ヲ徴収セス

第七十九條

郵便物ノ差出人ハ未タ配達ヲ了セサル郵便物ノ宛名變更又ハ取戾ヲ請求スルコトヲ得但シ之ガ爲事務ニ差支アルトキハ拒絶スルコトアルヘシ

前項ノ請求ヲ爲サムトスル者ハ郵便物差立前ナルトキハ金五錢差立後ニシテ郵便ニ依ルモノハ金八錢電信ニ依ルモノハ取戻請求ニ係ルトキハ金四十錢宛名變更ノ請求ニ係ルトキハ金七十錢ヲ前納スヘシ

第八十條

通常郵便物ノ受取人他ノ郵便区内ニ移轉シ其ノ移転先分明ナルトキハ之ヲ其ノ移転先ヘ轉送ス

小包郵便物ハ第三十二條又ハ第三十三條ニ依リ差出人又ハ受取人ヨリ其ノ轉送ヲ請求シタルトキニ限リ之ヲ轉送ス

第八十一條

通常郵便物ノ受取人既ニ其ノ宿所ヲ移轉セルトキハ其ノ配達先ニ於テ受取人ノ所在地ヲ集配人ニ明示シ該郵便物ノ轉送ヲ求ムルコトヲ得

其ノ配達ヲ受ケタル後ナルトキハ該郵便物ニ轉送先ヲ記載シタル付箋ヲ爲シ其ノ配達ヲ受ケタル日ヨリ十日以内ニ料金ノ納付ヲ要スルコト無ク再ヒ郵便ニ差シ出スコトヲ得若其ノ期限經過後郵便ニ差出シタルトキハ新ニ差出シタルモノト看做ス

通常郵便物受取人ノ移転先不明ニシテ該郵便物ノ還付ヲ爲ス場合亦前二項ニ準ス

第八十二條

郵便物ノ受取人所在不明ナルトキ又ハ郵便料不納ナルニ依リ受取人之カ受取ヲ拒ミタルトキ又ハ留置期間ヲ經過シタルトキハ配達シ能ハサル郵便物トシテ直ニ之ヲ差出人ニ還付ス

小包郵便物ニ關シテハ前項ノ外第三十二條ニ依リ受取人ヨリ豫メ其ノ轉送若ハ棄却ノ請求ヲ爲サス又ハ第三十三條ニ依リ受取人ヨリ轉送ノ請求ヲ爲ササル場合ニ於テ配達ヲ遂ル能ハサルトキハ直ニ之ヲ差出人ニ還付ス轉送ノ請求ヲ爲シタル郵便物ニシテ其ノ請求ニ依リテ配達ヲ遂タル能ハサル場合亦同シ

第八十三條

郵便物ニ關スル損害ノ賠償ハ其ノ差立郵便局所所在地ヲ管轄スル一等郵便電信局ニ之ヲ請求スヘシ

郵便法第四條ニ依ル損害ノ賠償ハ損害ヲ生セシメタル郵便遞送人及郵便集配人ノ属スル郵便局所所在地ヲ管轄スル一等郵便電信局ニ之ヲ請求スヘシ

郵便法第五條ニ依ル報酬ハ助力ヲ求メタル郵便遞送人郵便集配人又ハ郵便吏員ノ属スル郵便局所所在地ヲ管轄スル一等郵便電信局ニ之ヲ請求スヘシ

第八十四條

郵便物ノ配達又ハ還付ノ際郵便物ニ損害アリト申立タルトキハ申立人ヲシテ其ノ事由ヲ證明セシムヘシ郵便局ハ郵便法第三十四條ニ依リ損害ナシト看做スヘキハ其ノ事由ヲ記載シタル調書ト共ニ再ヒ該郵便物ヲ申立人ニ交付スヘシ

前項郵便物ニシテ損害ナシト看做ス能ハサルトキハ七日ノ期間内ニ申立人ヲ立會ハシメ之ヲ開披シテ損害ノ有無ヲ檢査シ損害ナシト認メタルトキハ郵便物ハ其ノ事由ヲ記載シタル調書ト共ニ郵便物ヲ申立人ニ交付シ損害アリト認メタルトキハ申立人ニ於テ其ノ郵便物ノ任意受取方ヲ申出ツル場合ノ外損害調書ヲ作成シ之ヲ損害賠償ノ請求權ヲ有スル者ニ交付ス

第八十五條

前條第二項ノ場合ニ於テ申立人立會ヲ爲ササルトキ其ノ申立人受取人ナルトキハ郵便物ハ直ニ差出人ヘ還付ス申立人差出人ナル場合ニ於テハ郵便法第十四條ニ依ル還付シ能ハサル郵便物トシテ之ヲ取扱フ

第八十六條

郵便ニ關スル損害賠償ヲ請求スル者ハ其ノ種別、品名、箇數、實價、請求金額其ノ他必要ナル事項及之ヲ請求スル事由ヲ記載シタル請求書ヲ差出スヘシ若前二條ノ場合ニ於ケル損害賠償ノ請求ヲ爲サムトスルトキハ別ニ其ノ調書ヲ添付スヘシ

第八十七條

損害賠償及報酬ノ請求ヲ受ケタル一等郵便電信局ニ於テハ其ノ請求ノ當否及金額ヲ審査シ其ノ決定ヲ請求人ニ通知ス

第八十八條

損害賠償ノ請求ヲ爲シタル者其ノ請求ヲ取消タル場合ニ於テ郵便物ノ毀損ニ係ル請求ナルトキハ郵便局所ハ直ニ該郵便物ヲ其ノ請求人ニ交付ス

第八十九條

郵便法第三十三條ニ依ル郵便物損害賠償ノ金額ハ左ノ割合ニ依ル

1. 書留郵便物亡失ノトキハ一箇ニ付金十圓
2. 價格表記郵便物亡失ノトキハ表記金額ノ全額、毀損ノトキハ其ノ表記金額ト殘存價額トノ差額但シ表記金額市場價格ニ超過スルトキハ市場價格ニ依リ算定ス此ノ場合ニ於ケル市場價格ハ引受當時ニ於ケル引受郵便局所所在地ノ價格ニ依ル
3. 小包郵便物亡失又ハ毀損ノトキハ重量百匁又ハ其ノ端數毎ニ金二十錢
4. 現金取立郵便ニ依ル證券ノ亡失又ハ失效ノトキハ其ノ實損額

第九十條

此ノ規則ハ明治三十三年十月一日ヨリ之ヲ施行ス

明治二十五年三月遞信省令第八號配達證明郵便規則同二十九年九月遞信省令第十九號代金引換小包郵便規則及此ノ規則ニ牴觸スル規定ハ之ヲ廃止ス